不思議な種


先月行った整骨院は自分に合わなかったと思った。
まだ若い先生は自分の腕におぼれているとしか思えなかった。
個々の患者の状態ではなく、カラダというものを一般的な本来の位置へ
戻せばいいと思っているように感じた。
結果、ギックリ腰のような症状を引き起こした。


しかし、カラダが人の手を借りないといけないくらいに状態が良くないのは
明らかなので、思い切って会社の近くの整骨院の門をたたく。
初めてのところってのは勇気が要りますね。
しかも、カラダっていうデリケートなものを預けるんですから。


50歳くらいにみえる先生は淡々とした人だった。
私の過去の症例をみて「その肩と腰の不調はきっとこの過去の両足の捻挫から
きてるのかもしれませんね」と思いもつかなかったことを仰る。
なるほど、私はうまく歩けていないと常々感じている。
カラダ全体に対して足首が細すぎてバランスが悪い。
高校生くらいまで普通に歩いても捻挫するほどだった。


「あっやっぱりここからきてるね」と言った先生は「これ、ナデシコの種ですが
これをツボに貼っていきます」と小さな粒のついたシールを貼りだした。
た、種???
そんな疑問符だらけの私の様子をよそに、先生はちょちょいと調整をしていく。
私が大嫌いな余計なおしゃべりは一切しない。
「あっここがこうか、そうか」と時々つぶやく。
その様子はカラダと会話をしてるという感じだ。
「この人はできる」と直感的に思う。


終わった後、腰の痛みは消えていた。
受付に貼りだしている紙によるとさっきの「種」は中国の療法の一種のようだ。
東洋と西洋の療法を取り入れて施行しているという手書きで書かれたそれをみて
「明日も来ます」と聞かれもしないのに受付の人に告げて帰った。