ドキドキした。

ヒドい失恋を続けて二回してから
というもの、ミュージシャン以外の
現実の男にときめかなくなっていた。

ヒドい失恋も、駆け引き抜きでの
己の恋愛力の低さや見る目の無さ
(絶対自分に合わない人を好きに
なる)故だと薄々気がついていたから
かもしれない。

そう、恋愛をするのに自信を無くして
しまっていたのだ。
ときめいてうまくいったとて、
自分も相手も幸せになどできぬと。

まあ、逃げてたのかもな。
怖くて。

そんな私めが、この前ドキっとした
出来事が。

一ヶ月前くらいに、パソコンの購入を
考えて某家電店へ。
対応してくれた我が家のツボさん似の
お兄さんは、説明がピカイチ!
かなりのオタクを自負する私の質問
にも淀みなく答えてくれた。
買うならこの人からだなぁと思いながら
安い買いじゃないしと店をあとに。

それから二度ほど店舗を訪れてみたが
お兄さんがいないので「まあ、まだ
買わなくてもいいのかも」などと
思い一ヶ月。

たまたま他の買い物があって、
家電店を訪ねた。
パソコンの事は、自分の中で
やや薄れていた。
んで、お目当てのものを買おうと
パソコン売り場の前を通ると
「あっ!」と親しげな視線を送る人が。

自分の中で、意識してなかったのと
目指すものがあったのでスタスタと
通り過ぎた後にあの兄さんだったの
かもと合点がいく。
どっちかつうと、私は他人の顔は
よく覚えてる方なんだけど油断して
たのか反応が鈍かった。

目当てのモノを獲得して、さて、
落ち着いて「あっ!お兄さん居たから
パソコン買うか」と売り場に向かう。

あいにく接客中なので、他をみて
時間をつぶす。

空いた隙に向かっていくと笑顔。
(決して、愛想がいいタイプでは
ない)
「あの、どんたくの時に説明して
もらったんですけど覚えてますか?」
と尋ねると「はい、だからさっき
気がついたでしょ」と言われる。
「お兄さんの説明が素晴らしかった
んで、お兄さんから買いたいと思って」
なんて言葉はスルスルと口から出る。

兄さんはちょっと嬉しかったのかも
しれない。ただ、あまりそれは見せない
感じではあったが。
早速、商品を見繕ってくれて在庫の
ある分はお得セットになると在庫を
見に行ってくれた。

一生懸命だ。
私は、どんな仕事もできる限りの
知識をもって向き合っている人が
好きだ。すごく誠実だと思うから。
接客を仕事にしてれば、「あなたから
買いたい」って思わせるのが接客の
プロだと思う。
某ミュージシャンも自分の仕事に
対して誠実なところが好きなんだ。

相手のご機嫌取ったりよりも、
こちらの疑問に答えてくれるって
方が信頼できる。

なんて事を考えながらボーっと
待っていると手持ちで帰る流れに。
持てなくもないというので、そうする
ことに。

会計をしている時に「重さ大丈夫です
よね?」とレジの男子に尋ねると
「持てなくはないですね」と言ってる
側から兄さん「俺、◯◯に住んでる
から(ウチの隣の役)帰りに持ってっ
てもイイなって思ってたんだけど」
ってどんなリアクションしたらイイ?
ってどう捉えたらイイ?
頭の中がグルグルして胸はドキドキ。
結果、なんか流してしまった…_| ̄|○

普段、女として扱いを受ける機会が
皆無であるため、全くリアクション
できず。
いやぁードキドキしたー

なんか、新鮮だったな。
こういう甘酸っぱいときめきとか
封印してたかも。
大好物だったのにね(昔は、鬼の
ように一目惚れしてた)。
あぁ、まだときめくことできるんだ
って分かってよかった(笑)
好意を向けられると気持ちがいい
もんだね。なんて。

んで、帰り道、思いのほか重たくて、
配達って手もあったよねと、冷静さを
欠いていた自分を思い知った。